〜 おまけ 〜

「吸血鬼の次は天使だってよ?」
 ノノムラがヒビキに言いました。
 話題は世間に広まり始めた新しい噂のことです。
「お前が爆破なんて考えるからだろ!」
 ノノムラの大爆破のせいで使い物にならなくなってしまったシノブの隠れ家。
「だってそれが奥の手だったんだから……。でもちょっと火薬の量、多かったな。奮発しすぎた」
 ハハハ、笑うノノムラ。
「パリンって割れるぐらいのはずだったんだけど。要するに日光が入ればいいわけで」
「お前、アレ、パリンどころじゃなかったぞ! ドッカーンって感じだったじゃねえか。オレほんとに死ぬかと思った」
「だよな。俺も実は焦った」
「まったく」
 しかし今となっては笑い話で済むことなので、でも綺麗になるのが嬉しい、と配慮ともとれる言葉が続きます。
「オレ、暗いところ苦手だし。暗いのは夜だけでいいよな……。でもこういうこと言うと、夜でも明りをつけるとか言い出しそうだから黙ってろよな。オレ、明るいところでするのやだし」
 なんとなくシモネタ方向に進んでいるのがわかり、ノノムラは「ほんと天然だよな」と心で呟きました。
 あからさまに聞かれれば頬を染める癖に、自分はといえば、真面目な顔で口にするのですから。

 ヒビキの部屋で一緒にティータイムに興じているふたりです。
 彼の友人ということでボディーガードもかねて一緒に城へとあがったノノムラ。もちろん家族ともども移動となり、今までとは違う生活に弟たちは大喜びなのですが……。
 ヒカリの店で仕入れたクッキーを口に運び、もぐもぐゴクンと飲み込んでから、はぁ、と溜息をつきました。
「ここだけの話。王子様、人使い荒いよ。荒すぎ!」
 シノブにひとたび呼ばれればすぐに行かなければならず、今や立派な召使になれ果てていました。
 あの一見以来、頭が上らないのです。そしてこき使われているのでした。 いつも自分にやらせる雑用を考えてるに違いない、ノノムラは密かにそんな風に疑っています。
「だってコーヒーもって来いは当たり前で、この間も今日のスープはコンソメにしろって厨房まで言ってこいとか、 ゴミ落としたから拾っとけとかさあ。自分の足元のゴミだぞ?」
 滅多に出ることの無い親友の愚痴。
 ちょっと理不尽と肩を落とした彼に、ヒビキが同情の目を向けましたが。
 しかしそれも一瞬、
「そういう運命なんだろ? 元気だせ!」
 一言で終わらせ、結局は笑い飛ばされてしまうのでした。
「だよなー。仕方ねえか……。ここにいなきゃお前にもそうそう逢えないだろうし。それぐらい我慢なんだけど」
 前向きが信条、はこのふたりの共通点のようです。
「本当にわがまま王子様だよ」
 でもそのおかげというわけか。
 行けばヒダカが気を使ってくれるし、近くにいて仕事ぶりを見られるわけですから、そう悪いことばかりではないようです。
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