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貴方しか見えない10  (含、十八禁表現。抜ける場合は『NEXT→』で十一話に飛んでください)

「さとる」
 ベッドの中、掠れた声がオレから全ての力を奪っていく。
 サイドテーブルで灯るスモールライトが照らし出すのは目の前にある彼の姿。
 オレの腰を掴み、繋がった部分に緩やかな振動を与え続けている。
 洗いざらしの髪が僅かな動きとともに額に落ち、彼の目元を隠そうとする。 時折聞こえる、ふぅ、と噛み締めるような息づかい。 それを上回るのはもちろん自分の上げる声。
 入れられた時にはさすがにきつかったけど、それでも嬉しかった。やっと身体で感じることが出来るから。
 肌を晒して唇や手で愛撫されて。触れられた場所に灯されていくむず痒いような感覚に、背筋がゾワリと波立った。
 これは快感? 久しぶりすぎてどんな感覚だったのかさえうろ覚え。
 ただ……。
 幸せだ、と思った。
 目の前に大好きな人がいること、見つめていられることは、こんなにも幸せなことだったんだね……。
 身体を丸めて上に、彼に向かって手を伸ばした。
 髪の向こうの瞳が笑う。
 自然な動作でオレの手をとり、重ねた掌を強く握りこんだ。
 貴方を…、
「つかまえた」
 楽しくて、嬉しくて、幸せで。どうしよう。それを伝えたくて、笑う。
「ずっと前から囚われの身だよ」
 手の甲にキスをされた。最初は右。そして左。その後、ゆっくりと身体をずらし、背中側から抱きしめられて。
「ねえ、浮気、してないよね?」
 首筋に唇を押し当てながら、そんなことを訊いてきた。
「するわけ……」
 無意識に、そこで言葉が途切れた。
 なんでこんなとこで切るかな自分。怪しまれるじゃねえか。なーんもしてないのに。それでも止まってしまったのは、 告白電話のことが一瞬浮かんだからかもしれない。でも浮気ってことじゃないよな? 気持ちは揺れてない、よな?
「君、眼が泳いでる。もしかして、そんな気になってたとか?」
 覗きこんできた瞳は思いっきりの不審色。
「なわけねーだろ!」
 よし、言い切った! けど、駄目?
「それにしては、さっきの間、怪しいねえ……」
 あぅ、駄目かも。
 なんとなく急に意地悪な目になった気がする……。さっきまではすごく優しい目だったのに。
「自分でしてた?」
「オヤジくさいこと訊くなっ! あっ!」
 待ち受ける試練に、今、幸せ度、半減……。
 ガバッと起き上がった彼に片足を持ち上げられ、深く突かれ、揺さぶられた。 覚えこまされた感触が戻ってきて、だんだんと頭の中に靄がかかっていく。
「久しぶりにあった恋人同士の会話って言ったら、これだろう? ん?」
「はぁっ! あっ……、んっ、あっ、あ!」
 腰を大きくグラインドされて、一番感じるところを掠めた。あまりの刺激に眩暈がしそう。急かされるように上らされる欲望の高み。
「ねえ、答えてよ」
 オレのモノをつかみ、強弱つけて扱きにかかる。
 先端から溢れるものを丸く広げている指の腹の感触と握りこまれる手の熱さに、反論することさえ忘れて頷いていた。
「凄いよ、たくさん出てる」
「、あ、んっ! もう、や」
 片手は背中をツツーと撫でて。
 仰け反らせた胸の尖りを舌で突付かれ、軽く歯を立てられてねっとりと弄られた。身体全体が敏感になってるせいか、それだけでイきそうだ。その証拠に欲望は絶え間なく溢れてる。
 狂う。
「や、だ。も、やめ。――っ! うぅ! あ、あ」
 身体を折り曲げられるように深く貫いてきて。ころころと体勢を変えられるのは辛い、言いたいけど言葉が喘ぎに変わるだけだった。本能のままの獣状態。
「イきたい? ゾクゾクするよ、君の喘ぎ声もも久しぶりだし、そんな表情も……」
「、あ――、あ」
 汗がオレの腹の上に落ちた。その一滴を伸ばすように指が微妙な動きをするから、変に腹筋に力が入ってしまう。そのせいで彼のモノを締め付けたのが自分でもわかる。
「熱いよ、君の中。ギュッと締め付けてくるんだ。……気持ちいい」
 潤んだ視界では彼の表情がよく見えないけど、感じ入ってる声にオレもまた感じてる。
「オレ、も」
「悟、キスして」
 オレの頭の横に肘をついて、顔を寄せて。
 言われるまま彼の頬を両手で包み、激しく舌を絡ませあった。 息を吸い込む音が大きく響く。 息だけじゃない、キスを求め合う音、自分から発している音。 身体中を取り囲む淫靡な音が余計にオレを煽る。
 ただ快感だけを追うことしか、頭には残っていない。 淫らにも、彼のリズムに合わせるように自分でも腰を動かしていた。
「はっ、あ……。あ、いかわさん! イイ……っ!」
 深く突かれたかと思うと抜かれそうになる。そのたびに自分の中が彼を引きとめようとするのがわかる。 熱い彼のモノを逃がさないように。
「名前、呼んでみて」
 浅い部分で繰り返されて。手で包まれていたものも動きが止まってしまった。イかせてもらえない 出口を塞がれた熱が身体中を暴れまわり、苦しくて。 ポロポロと溢れ出す涙を止められない。楽になりたくて自分の手を持っていこうとしたけど、手首を掴まれてそうすることも出来ない。
「自分でイこうとするなんて、反則」
「ああっ! あ、あ、あ、苦し」
 神経が勝手に飛び跳ねる。そのせいで自分の身体が仰け反ったり丸まったり。意思を離れて暴走しはじめた。
 決定的な刺激が欲しい。
「なまえ」
「ひろゆき、さんっ!」
「愛、してる?」
 彼に問われる事を必死で考え、伝えようとするけれど。 意味のある言葉として言えてるのか、わけのわからない状態になっていた。 ただ、早く、この大きなうねりから解放して欲しい。それしか、ない。
「あっ、んっ!! あ、愛してるからっ! 貴方だけが、スキ、っ! っ、んんっっ! も、ダメだ! ア――…っ!」
 粘膜を擦る音とともに感じる部分を思い切り彼のモノが直撃されていく。
 前も彼の大きな手で捻りを加えながら強く扱かれて、彼の激しい息遣いを訊きながら、オレは欲を吐き出した。
「、……、っ!」 
 彼の呻くような声が聞こえる。視界に捕らえたのは切なげに歪む表情。 壊れそうなほどに激しく突き上げられて。強く強く抱きしめられて。脈打つ彼を感じた。

2003.12.22


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